この記事では、これからの寝苦しい夜にぴったりな秀作恐怖漫画をご紹介します!
読めば暑さは吹っ飛びますが、眠れなくなっても知りませんよ!
恐怖新聞
書誌情報
- タイトル:恐怖新聞
- 著者:つのだじろう
- 初版発行:1973年
恐怖新聞のあらすじ
主人公の鬼形礼は石堂中学校に通う少年だ。リアリストな彼は、超常現象や心霊現象の類を、まったく信じていなかった。
だが、ある日の午前0時、彼のもとに、幽霊の存在を証明した記事や未来の出来事などが書かれた「恐怖新聞」が届く。
届いた当初は「恐怖新聞」を相手にしていなかった鬼形だが、その翌日、驚くべきことに、記事に書かれていた出来事が実際に起こった。そして彼は「恐怖新聞」にまつわる恐ろしい噂を耳にする。
『「恐怖新聞」を1度読めば、そのたび寿命が100日縮む。』
この日から彼の元には毎晩のように「恐怖新聞」が届くようになる。 超常現象を信じていなかった少年は、誰よりも不可思議な出来事の渦中に身を置くことになったのだった。
「恐怖新聞」にまつわる恐ろしい出来事の先に、主人公を待ち受けるものとは…。
恐怖新聞のおすすめポイント
「恐怖新聞」は恐怖漫画の傑作として知られています。
本作は主人公・鬼形礼に関する長編ストーリーと短編エピソードの二つで構成されています。UMAやUFO、ポルターガイストなど様々な超常現象を扱っており、主人公がいかにして立ち向かっていくかが見どころになっています。
また「恐怖新聞」は主人公に害をもたらすと同時に、ピンチを脱却するためのキーアイテムにもなっているという設定が面白いところです。未来の出来事が書かれているということは、裏を返せば先の出来事を回避できるということになります。
「恐怖新聞」から逃れたいと思いながらも、超常現象を解決するためには頼らざるを得ないというジレンマがあります。こうした迫りくる恐怖とストーリー構成が絶妙な漫画だと言えるでしょう。
恐怖新聞を読む
迷宮サーカス
書誌情報
- タイトル:迷宮サーカス
- 著者:千之ナイフ
- 初版発行:2002年
迷宮サーカスのあらすじ
「迷宮サーカス」それは願いを叶えてくれるもの。――ただし自分自身の命と引き換えに。
家庭にも学校にも居場所がなく、孤独な生活を送る主人公の少女は、ある夜、夢の中で「迷宮サーカス」のチケットを拾う。
とは言え、それは夢の中の出来事。これから続く絶望的な人生に、彼女が希望を持つことはなく、ある日、少女は飛び降り自殺を決意する。
しかし、そんな折、少女の前に謎の女が現れる。女の口から語られたのは、聞き覚えのある「迷宮サーカス」というワード。
謎の女の手引を得た少女は、自らのは願いを叶えるため、「迷宮サーカス」に乗り込むのだった…。(~「迷宮サーカス」~)
表題作の「迷宮サーカス」の他、透明になりたいと願う少女が主役の「透明少女」、守護天使からコロシアムを授けられる「コロシアム」、妖虫病になった人々を描いた「怪虫」など、奇妙で不可思議な話が収録されたオムニバス作品。
迷宮サーカスのおすすめポイント
一話完結の物語を集めたもので、それぞれの話は独立しています。全ての作品が作者ならではの独自の世界観になっており、展開される物語も奇妙なものです。
各話の主役の少女たちは、それぞれは何らかの悩みを抱えています。差し伸べられたのは救いの手か、それとも滅びの手か、それは誰にも分かりません。
少女たちは軒並み酷い目に遭うわけですが、なぜかそこまでグロテスクさは感じません。と言うのも、作品全体がいわゆる「耽美系」の絵柄で描かれており、気味の悪さよりも、むしろ美しさの方を感じるからです。
耽美的な筆致で描かれる、奇妙な世界。このアンバランスさが恐怖を際立たせており、読者を物語の中に惹き込む不思議な魅力を生み出しています。
迷宮サーカスを読む
いなずま少女
書誌情報
- タイトル:いなずま少女
- 著者:古賀新一
- 初版発行:1981年
いなずま少女のあらすじ
友達とともに学校で怪談話に興じていた主人公の美少女・冴子は、話の流れから、近くの林に肝試しに向かうことになる。
肝試し当日、母親からの静止を振り切って、友達との約束を守った冴子だったが、林の奥では数々の怪現象と、そして、恐るべき化け物が、彼女たちを待ち受けていたのだった。
化け物の正体は、冴子の父の乳母を務めていた女性。かつて冴子の両親から手ひどい仕打ちを受けていた彼女は、あるとき雷に撃たれて死亡するのだが、その肉体は朽ちてなお恨みによって衝き動かされており、冴子らの一族への復讐を求めていた。
林の中での急襲を受けた冴子は、その若さと、美しい容貌を乳母に奪われてしまう。冴子の容姿を手にした乳母は、いよいよ一族への復讐を開始するのだが…?
いなずま少女のおすすめポイント
「いなずま少女」というタイトルから、帯電したり電流を放ったりするものかと予想していましたが、その正体はまったく予想外でした。
ゾンビのようにタフで、しかも賢く、吸血鬼のように人の血を吸って若返ったりと、古今東西の魔物たちの特性をてんこ盛りにした「いなずま少女」は、まさに恐るべき敵と言って良く、その強さにリアルな怖さがありました。
一方で冴子サイドも狙われるというだけでなく、両親が起こした過去の過ちへの後ろめたさがあったり、乳母の身の上にも多分に同情できる部分があったりと、単純な構図では捉えきれない面白さがありました。
昨今のハリウッド映画のような、ワラワラと物量で攻めてくる化け物ではなく、圧倒的な怪物を見たい!という方には、かなりオススメなホラー作品と言えます。
いなずま少女を読む
病的ノイローゼ
書誌情報
- タイトル:病的ノイローゼ
- 原作・作画:月森雅子
- 初版発行:2017年
病的ノイローゼのあらすじ
女学生の花山りえは、生物教師の北山に恋をしていた。
教師と生徒の許されない恋。勇気を振り絞って想いを伝えたりえだったが、しかし、北山の反応は非道とさえ言えるほど冷淡なものだった。
失恋の悲しみに打ちひしがれる中、偶然訪れた骨董品店で、ある「人体模型」に視線を吸い込まれるりえ。彼女はその人体模型に、不思議な魅力を感じる。
その店の店主である青目の紳士は、悲しむりえから一連の事情を聞くと、他人の生活を覗き見ることができるという不思議な「目玉」を貸し出してくれる。
「目玉」の効力を使い、愛しい北山の生活を覗き見するようになったりえ――北山の秘密を知った彼女の行動は、日を追うごとにエスカレートしていくのだった。
病的ノイローゼのおすすめポイント
人間の「心の闇」が生む恐怖を中心に描いた短編集です。
思い詰めて目をくり抜き、人形の「目」をねじ込むことになる少女や、自分の愛する母を「食べて」生まれてきたという「記憶」から、歪な愛情を向けるのを止めることができない少年など、各話の主人公たちが抱く闇の深さは極めて強烈。
また、ラストまで意外な展開の連続で、鮮烈な印象を読み手に与えてくれますが、破綻はなく非常に良くまとまっているのも好印象です。
普通の恐怖とは一味違う、一風変わったホラー作品を読みたい方にはオススメできる作品と言えるでしょう。
病的ノイローゼを読む